「子供の性教育っていつすればよいの?」「どうやってするの?」と悩んでいる方はいませんか?「そのうち勝手に知るでしょう」「学校で習うんじゃない?」と、そのまま放置していることも多いのではないでしょうか。
私にも年頃の子供がいますが、言いにくくてそのままにしていました……。
この記事では滋賀県発の新しい性教育について解説していきます。
- 自分の子供にどう性を教えたら良いか戸惑っている
- 性被害や性暴力をなくすための性教育について考えたい
こんな人たちにおすすめの記事です。
滋賀の性教育が全国に!?避妊具を教材に
滋賀県から一歩踏み込んだ性教育が登場しました。なんと、避妊具が教材として使用されています!
避妊具の名称は「びわこんどーむくん」
琵琶湖になぞらえた名称で、子供たちに親しみを持ってもらえるようなデザインです。
滋賀県といえば、やはり琵琶湖ですものね!
▼実際に教材として使用した助産院さんのInstagramより
あまりにストレートで驚いてしまいました!
クラウドファンディングで避妊具の教材が登場
発案者は滋賀県の元体育教師・清水美春さんです。
清水さんはクラウドファンディングを使って、授業の教材として使用する避妊具を提案しました。全国の高校生1万人に配布することを目標とし、全国の支援者の賛同を得ました。
現在、北は北海道、南は鹿児島県まで、さまざまな学校やPTAの講習会、産院などの講義に使用されています。
■ウェブサイト:清水美春さんのクラウドファンディング
■Twitter:びわこんどーむREVOLUTION
▼授業を受けた生徒さんがTwitterに感想の投稿をされていました。
人生に役立つ性教育が今年度も多くの学校で実施されますように😌#習うより触って慣れようコンドーム https://t.co/xFaIqjyo2H
— びわこんどーむREVOLUTIONϵ( '◎' )϶全国の学校でも🐟家庭でも🐟地域でも🐟 (@biwaconREV) April 7, 2023
作成した理由
清水さんは、日本の従来の性に関する指導に疑問を感じていました。従来の日本の小・中学校では以下のことを学びます。
- 子宮の中でどう赤ちゃんが育つのか
- 身体的な二次性徴の話
- HIVやエイズなどの感染症予防の話
ところが、肝心の性行為については中学3年生になっても習わず、高校でようやく言葉が出てくる程度です。避妊具の付け方についてはまるで習う機会がありません。
エイズ患者が多いケニアで、HIV予防の協力隊員として勤務した清水さん。やはり避妊具の実物を使った指導が大切だと気づきます。知識があっても実際に使えないことには、正しい避妊・性感染症予防の知識が得られないからです。
高校に進学しない方は、余計に知識を得られないですよね。中学までに学ぶのが大切ではないかと思いました。
▼性教育と同じくらい気になる滋賀の「いじめ対策」について、こちらの記事で取り上げています。
滋賀の性教育|避妊具を使用した滋賀県学校の授業例
このプロジェクトに賛同した全国のさまざまな機関で、実際に「びわこんどーむくん」が教材として使用されています。
その一例として、滋賀県の立命館守山中学校の授業を紹介します。
これを手にした子供達の反応がとても気になりますね!どう指導しているのでしょうか?
立命館守山中学校での事例
中学3年生の生徒に、清水さんを外部講師として性教育が実施されました。実施方法は以下の通りです。
導入:「水交換」というゲームで性感染症の広がりを学ぶ
ウイルス入りの水(透明で分からない)を持った各クラスの代表者が、他の生徒の水と交換し合います。その後、先生が魔法の液を入れると、ウイルス入りの水がピンク色に変化します。
誰がウイルス入りの水を持っているのか分からず、いつのまにか感染しているという、性感染症をよく表しているゲームです。
本題:びわこんどーむを使用して、使用方法を学ぶ
二人1組になり、じゃんけんで買った人がチョキの指を出し、負けた人は相手のチョキの指に実際に装着し、使用方法を学びます。
生徒の様子
恥ずかしがったり、初めての感触で戸惑いながらも、みな自分ごととして真剣に実践していたとのこと。生徒へのアンケートは、以下のような結果でした。
実際に触るのが初めてだった人 | 84% |
装着法を学ぶことを肯定的に捉えている人 | 79% |
配布されたことを肯定的に捉えている人 | 73% |
中学3年生という多感な時期に、このような授業をして大丈夫かと不安があったという担任の先生ですが、「自分を守る大切な道具であることを生徒に伝えられた」と満足されている様子でした。
一歩踏み込んだ授業でしたが、生徒たちが受け入れてくれて良かったです!
滋賀の性教育|実施時期が早すぎるということはない!
「ちょっと実施時期が早いのでは?」「早すぎる指導は、逆に性行為を助長して良くないのでは?」など、先進的な性教育を不安に思う方もいるのではないでしょうか。
そこで、さまざまな角度から実施時期の妥当性を探ってみたいと思います。
15歳未満の人口妊娠中絶件数は滋賀でもゼロではない
厚生労働省が調べた中学生以下の人口妊娠中絶件数を見ると、平成15年時点では全国で483件、滋賀県でも7件と、ゼロではありません。
早ければ小学生の内でも妊娠する可能性はあります。正しい性の知識があれば防げたかもしれません。
■ウェブサイト:厚生労働省|人口妊娠中絶件数・実施率
UNESCO(ユネスコ)は5歳から推奨!
UNESCO(国連教育科学文化機関)が発行している「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」では、5歳〜18歳の年齢を4つのグループに分け、包括的性教育について繰返し学習するように指示されています。
包括的性教育とは
性的行動や性感染症のリスクだけでなく、ジェンダー、人権、多様性、人間関係、性暴力の防止など、「自分らしく生きること」も含めた性に関する教育。
多くの国で、このガイダンスを使用して指導が行われています。「ヨーロッパの性教育のスタンダードは0歳から」とも言われることから、世界の状況から見ても「滋賀の先進的な性教育が早すぎる」ということにはなりません。
■ウェブサイト:UNESCO|国際セクシュアリティ教育ガイダンス(海外サイト)
世界ではもっと早くから、子供に性について教えるんですね!親子でもよく話をするそうですよ!
早いうちからの教育が性行為を助長する心配もない
オランダでは4歳から包括的性教育が行われ、8歳でセルフイメージやジェンダーステレオタイプ、11歳で性的嗜好(しこう)や避妊の選択肢を学ぶのだそう。
しかし、それで性行為が助長されたかというと、そのようなことはなかったと報告されています。また、他国よりも避妊具の使用率も高く、10代の妊娠率や性感染症は少なかったということで、指導の成果が出ていますね。
■ウェブサイト:PBS NEWS HOUR|The case for starting sex education in kindergarten(海外サイト)
ネットでは性に対して過激な情報も多々あります。正しく伝えず、子供に任せているのは危険だと思いました。
▼滋賀の小学校について興味がある方に、こちらの記事もおすすめです。
まとめ
滋賀県の先進的な性教育についてご紹介しました。最初に突然避妊具が出て、驚いたのではないでしょうか?執筆している私自身も驚きと戸惑いを感じながらの執筆でした。
滋賀県の先進的な性教育
- 滋賀の性教育の特徴は?
- 避妊具の実物を使用した指導であることが特徴
- 滋賀県の元体育教師・清水さんによって考案され、全国へ広がっている
- 参考ウェブサイト:清水美春さんのクラウドファンディング
- 参考Twitter:びわこんどーむREVOLUTION
- 教育実施例は?
- 滋賀県の立命館守山中学校での実施例を紹介
- 参考ウェブサイト:守山中学校性教育の様子
- 実施時期が早過ぎない理由は?
- 滋賀でも15歳以下の人口妊娠中絶件数は0ではない
- UNESCO(ユネスコ)では5歳からの包括的性教育を推奨
- オランダでは4歳から包括的性教育が実施されているが、性行為が早期から助長される問題は起きていないと報告
今回、深く調査していく内に、「我が子にも早く性について教えてあげないと」と、思い直すきっかけになりました。そして、小学生の息子と娘に思い切って伝えたところ、案外さらっと受け入れてくれました。むしろ早い内の方が、変に受け取らず入って行きやすいのだなと感心しました。
この記事が子供達の性教育を考える方の参考になれば幸いです。