滋賀県の琵琶湖に浮かぶ沖島は、世界でも珍しい淡水湖にある有人島です。海なし県の離島というキャッチフレーズの通り、船でしか行けない島でもあります。
また、猫島の別名をもつ沖島は、島に住み着いた野良猫と触れ合える島としても有名です。海を背景に寝そべったり、じゃれあったりする猫たちを見て癒やされたいですよね。
しかし近年、猫がほとんどいなくなったというウワサがあります。「猫に会いたい!」と思って行ったのに、もし肝心の猫がいなかったら悲しいですよね……。
島の猫に一体何があったのか気になります。
今回は、沖島の別名の由来や猫たちのウワサについて調べました。さらに、島の歴史やお店、みどころも一緒に紹介します。魅力いっぱいの沖島をご堪能あれ!
※ 料金・店舗情報は記事作成時のものです
滋賀の沖島が猫島といわれているのはなぜ?
動物写真家の岩合光昭さんが写真集で島の猫を紹介したことで、沖島は猫島と言われるようになったそうです。猫島というと猫がいっぱいいるように感じますよね。しかし、沖島にはそれほど多くの猫がいるわけではありません。また、飼い猫はおらず、すべてが野良猫なんだそうです。
岩合光昭さんの作品に興味がある方は、公式サイトをのぞいてみてください。
猫がほとんどいなくなったというウワサは本当?
2021年春を境に、猫がほとんどいなくなったというのは本当のようです。島民の話によると、2021年3月に島民ではない女性2人が大量の野良猫を島外に連れ出したんだとか。それも複数回、猫を持ち出す姿が目撃されているそうなんです。
また猫を取りに来たのかと島民に聞かれて以来、持ち出した女性たちは島にこなくなりました。血統書がついているわけでもない野良猫をどうするつもりなのかと島民も首をかしげているそうです。
猫が少なくなってしまったのは残念です。でも、運がよければ島でくつろぐ猫ちゃんに出会えます!
▼琵琶湖のもう一つの島、竹生島も魅力がいっぱいです。
滋賀の猫島の様子や歴史
沖島の周囲は約6.8キロメートル、面積は約1.52平方キロメートルあります。琵琶湖で一番大きな島です。そんな沖島の島内の様子や歴史について紹介します。
島内の様子
島内の道は道幅が狭く路地も多いので、どこかノルタルジックな雰囲気が漂います。実は島内には車が一台もないそう。一般的な移動手段は三輪自転車が主流です。とてものどかでゆったりとした時間が流れているように感じます。
沖島の歴史
万葉集の詩にも登場する沖島に、人が定住したのは1156年の保元の乱と1159年の平治の乱がきっかけだと伝えられています。
これらの乱で、破れた源氏の落ち武者である
- 南源吾秀元
- 小川光成
- 西居清観入道
- 北兵部
- 久田源之丞
- 中村磐徳
- 茶谷重右衛門
の7人が、島にたどり着き定住したそう。
昔から島に住んでいる人の名字のほとんどは、南、小川、西居、北、久田、中村、茶谷なんだそうですよ。
沖島は戦の要所でもあったようで、南北朝時代や室町時代、戦国時代など歴史の中にたびたびその名があがっています。
島に行くときの8つのお願い
沖島を訪れるときは次の8つのことをしっかり守ってください。
来島のお約束ごと8カ条
- 車は堀切港ではなく来島者専用駐車場に停めましょう。
- トイレは沖島港と小学校体育館の公衆トイレを利用しましょう。
- 夜の漁に出る漁師さんは日中に睡眠をとっています。睡眠の妨げにならないように、路地は静かに歩きましょう。
- 猫は自分で餌を取れるので、餌をあげないようにしましょう。
- ゴミは持ち帰りましょう。
- 火事の心配があるので、歩きタバコはやめましょう。
- イノシシやマムシも出るので、野宿はしないようにしましょう。
- 島内にBBQ場はないので、無許可でBBQはしないようにしましょう。
滋賀の猫島のお店
島内にあるお店や宿を紹介します。後述の「湖島婦貴の会」と「汀の精」では、島の名物「沖島めし」を5個から予約販売しています。3日前までの予約が必要です(10個以上の場合は1週間前まで)。キャンセルの場合は2日前までに連絡を入れましょう。
沖島めしとは
「沖島めし」は、お父さんたちが琵琶湖で獲った魚やお母さんたちが島の畑で採ったお野菜を使用し、心を込めて作っているお弁当です。
引用:沖島公式サイト
いっぷくどう
オーナーの気分次第で不定期にオープンしている古民家カフェです。オープンしているときはのれんがかかっています。開いていたらラッキーかも。5人以上のランチは予約が必要です。
テレビ番組『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』で紹介されたこともあるそうです。
いっぷくどう情報
湖島婦貴の会
沖島漁協会館の中にある湖島婦貴の会(ことぶきのかい)。漁協組合の婦人部の方たちが運営しています。
通常メニューは、
- 沖島うどん
- 沖島よそものコロッケ
- えびコロッケ
- 沖島天ぷら定食
- 各種飲み物
です。
前日までに予約を入れれば、沖島のお弁当や沖島どんぶり、沖島産天然うなぎのうな丼も作っていただけます。お弁当はテイクアウトもできるので、島の散策のお供にいかがでしょうか?
よそものコロッケは琵琶湖でとれたブラックバスを使ったコロッケです。ブラックバスは外来種の魚なので『よそもの』なんですよ。
他にもいろいろな料理があるので、ぜひ公式ページをご覧ください。また、一部のお料理は通販で購入可能です。
さなみ庵
沖島港の近くにあるカフェ「さなみ庵」。パスタやピラフなどを提供しています。テイクアウトメニューもあり、テーブルと椅子を一式レンタルできるピクニックプランがあるんです。不定休のため事前にご確認ください。
さなみ庵情報
汀の精
自然や体に優しいものを提供しているカフェ汀の精(みずのせい)。
定番メニューは、
- コーヒー
- 季節の手作りドリンク
- 季節のおやつ
- 野草茶
- おにぎりセット
など。
予約メニューには琵琶湖でとれる季節の魚や野菜、ふなずしをオプションで追加できるランチプレートやお弁当、夕食を提供しています。
また、天然素材を使った洋服や小物の販売も行っているので、興味のある方はぜひご覧ください。
汀の精情報
沖島港屋
青い屋根が目印のお食事処「沖島港屋」の定員は5名から25名です。完全予約制なので、事前に必ず予約をしてください。定食やふなずし、丼物など琵琶湖でとれた魚を使った料理があります。
沖島港屋情報
宿泊
湖上荘
琵琶湖大橋や比叡山・比良山系を一望できる漁家民宿「湖上荘」。島の西端に位置するので、山に沈んでいくキレイな夕日を見られます。琵琶湖で獲れた四季折々の魚料理を味わえるそうです。宿泊はもちろん、食事のみの利用も可能。どちらも事前予約が必要です。
湖上荘情報
営業時間(食事のみの利用):11時半~15時半(昼食)、17時~20時半(夕食)(4名様以上から利用可能)
宿泊料金:税込み11,000円(1泊2食付き1名様)(3名様以上から利用可能)
電話場号:0748-33-9639
民泊湖心「koko」
築40年以上の民家を改装した民泊湖心「koko」は2019年に島に誕生した初の民泊施設です。畳にふすまと昭和レトロな雰囲気を味わってください。民泊なので、食事は自炊です。調理器具や食器、調味料は用意されていますが、食材は用意していく必要があります。
民泊湖心「koko」情報
滋賀の猫島のみどころ
おきしま展望台
沖島小学校の跡地にできた「おきしま展望台」からは、沖島の町並みの向こうに広がる琵琶湖が一望できます。対岸に見えるのは近江八幡です。ベンチも設置されているので、のんびりと景色を楽しめますよ。
おきしま資料館
旧沖島資料館が老朽化のため2019年に閉館したあと、島民のたっての希望で場所を移して2023年3月にリニューアルオープンしました。展示内容は、沖島の漁業や農業、生活、歴史などです。
リニューアルオープンのために滋賀県立大学で地域貢献活動を行う2つの学生チーム「座・沖島」と「沖島 RYUBOKU HUT プロジェクト」の協力もありました。
5名以上の団体であれば、開館日以外の日でも見学できることがあります。事前に問い合わせてみましょう。
沖島資料館情報
開館日:木、土、日、祝日
開館時間:10時半~15時半
入館料:中学生以上300円、小学生100円、小学生未満無料
電話番号:090-2424-6963(開館時間内のみ)
弁財天
災害除けと琵琶湖を往来する船の安全、雨乞いの願いをかなえる神様がまつられています。2本の鳥居があり、1本は琵琶湖岸に、もう1本は参道の登り口にあります。奉納祭では和船に乗った神主さんと島民代表が琵琶湖岸にある鳥居をくぐり参拝されるそうです。
お社までは急な階段が続きます。階段を上った先のお社のある高台からの琵琶湖の景色は格別です。
毎年5月に行われる春祭りの様子をご覧ください。
大切に受け継がれている祭りなんですね。
奥津島神社
712年に藤原不比等によって建立されたと伝えられる神社です。建立当時はまだ人は住んでいませんでした。972年にまとめられた全国の神社一覧である延喜式神名帳に名神大社として記されています。
名神大社とは
名神大社(みょうじんたいしゃ)とは、日本の律令制下において、名神祭の対象となる神々(名神)を祀る神社である。古代における社格の1つとされ、その全てが大社(官幣大社・国幣大社)に列していることから「名神大社」と呼ばれる。
ウィキペディア
蓮如上人ゆかりのお寺
沖島には蓮如上人ゆかりのお寺が2つあります。1471年、北陸から堅田へ向かう途中の蓮如上人が強風のため沖島に漂着されました。そして、一夜を過ごした際に島民は蓮如上人から浄土真宗の教えを賜ったことがきっかけで、お寺が作られたそうです。
掛嶌山 西福寺
阿弥陀如来様がご本尊である掛嶌山 西福寺(かけしまざん さいふくじ)は、茶谷重右衛門の子孫が蓮如上人に帰依して開いた450年の歴史を誇るお寺なんだそうです。
西福寺に伝わる書画についての動画はこちらです。
絶景山 願證寺
漂着した蓮如上人が語られた浄土真宗の教えに感銘を受けた島民の1人が、上人から浄土真宗の教えを広めるようにと法名「願生」をいただいたそうです。島民は道場を建立、その後寺院へと移行しました。こちらのご本尊も阿弥陀如来様です。
沖島へのアクセス
沖島に渡るおきしま通船の連絡船は、堀切港から朝夕はおおむね1時間おきにそれ以外は2時間おきに出ています。片道10分で、料金は片道、高校生以上は500円、小中学生は200円です。
堀切港にはトイレがないそうです。港に行くまでにトイレは済ませておきましょう。
時刻表リンク(沖島公式サイト)
チャーター便で島に渡る方法もあります。詳しくは善通丸さんにお問い合わせください。
善通丸連絡先
携帯:090-5258-0277
FAX:0748-33-9730
堀切港までの交通手段
堀切港までは公共交通機関や車で行けます。
公共交通機関を利用する場合
公共交通機関を利用して堀切港に行くには、あかこんバスか近江バスが便利です。どちらもJR近江八幡駅の北口のバス停から堀切港の間を運行しています。
車でおでかけの場合
車でおでかけの場合は、堀切港から県道25号線を北東に進んだ先の山甚水産の北側に来島者専用の駐車場があるのでご利用ください。看板が出ているのでわかりやすいです。公式サイトに駐車場の詳しい地図があります。堀切港内への一般車両の侵入は禁止されているので、くれぐれもご注意ください。
駐車場は有料で、一般車両は1台300円、バスは1台3,000円です。定期船の船内入口横にある料金箱に収めましょう。駐車場から堀切港までは徒歩で約5分です。
山甚水産にも沖島のガイドマップが置いてあります。島を余すとこなく楽しむために、時間があれば船に乗る前にぜひもらっていきましょう。
まとめ
ここまでの記事をまとめました。
まとめ
- 動物写真家の岩合光昭さんの猫写真がきっかけで猫島と呼ばれるようになった
- 2021年以降、猫が激減してしまった
- 島の歴史かなり古い
- 昭和レトロな雰囲気が味わえる
- お食事どころやカフェもある
- 昔からの宿に加えて新たな宿が開業した
- 展望台が新設された
- 資料館がリニューアルオープン
- 神社やお寺は古くからある
新しいお店やみどころも増えている沖島。数は少なくなってしまったとはいえ、運が良ければ猫ちゃんに出会うこともあるようです。
琵琶湖でとれた魚を使った料理に舌鼓をうったり、沖島の歴史を読み解いたり、昭和レトロな雰囲気漂う島内を散策したり、猫ちゃんを探してみたり、とたくさんの楽しみが沖島にはあります。船で10分の離島を満喫してはいかがでしょうか?