事件と同じ普段はニュースや新聞などの記事で見かける“事故”。予期していない出来事が発生し、人の体や傷ついたり、命が奪われることがあります。それだけではなく、財産に損害が生じたり、環境にも影響が出ることもありえるのです。

日本でもJR福知山線脱線事故(2005年兵庫県)や知床遊覧船沈没事故(2022年北海道)、羽田空港地上衝突事故(2024年東京)が発生し、全国的にも知られています。

そして滋賀県内にも全国的に知られた事故があります。今回は滋賀県内で発生した2件の事故について紹介し、要点をふまえながらご説明いたします。

全国に知られた滋賀の2つの事故

2件ともニュースや新聞によって全国的に知られています。

  • 琵琶湖遭難事故
  • 信楽高原鉄道列車衝突事故

滋賀の事故1:琵琶湖遭難事故

画像はイメージです

1つ目は太平洋戦争が開戦する前の戦前で発生した琵琶湖遭難事故。

1941年(昭和16年)4月6日に発生した琵琶湖湖畔での水難事故です。

事故に遭ったのは金沢第四高等学校(現在の金沢大学)の漕艇(ボート競技)部員と京都帝国大学(現在の京都大学)の学生で、合わせて11人でした。春休みを利用して滋賀県大津市に合宿し、琵琶湖にて遠漕訓練を行いました。

その遠漕訓練にて水難事故が発生しました

要点

ここで琵琶湖遭難事故の要点をまとめてさせていただきます。

事故の要点

  • 遭難者は金沢第四高等学校の漕艇部員8人と京都帝国大学3人の計11人。
  • 4月6日午前7時頃、滋賀県高島郡今津町(現在の滋賀県高島市)にて11人を乗せたボートが出発し、大津市に向かう予定だった。
  • しかし午後18時になっても到着しなかったため、関係者が警察に通報した。
  • 通報を受けた滋賀県警察部はモーターボートで出動し、捜索を開始した。
  • 捜索は翌日の4月7日まで続いた。
  • 7日の午前10時頃に定置網にかかったオール、同日午後2時頃には漕艇部員の物と思われる下駄が発見され、11人の生存は絶望視された。
  • その後も捜索は行われ、事故発生から2か月後には11人全員の遺体が発見された。
  • 事故の原因は比良おろしと呼ばれる強風によってボートが転覆したといわれている。

琵琶湖で起きた強風によって発生した琵琶湖遭難事故。この「比良おろし」と呼ばれる強風は現在でも悩まされ、琵琶湖西岸を走行するJR湖西線の運転規制(高架で走行しているため、強風の影響を受けやすい)の原因になっています。

またこの事故では関西方面だけ大きく報道しただけでしたが、事故後には犠牲となった学生11人を悼む「琵琶湖哀歌」が流行し、後にレコード化されたことで全国的に認知されています。

参照:Wikipedia|琵琶湖遭難事故

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滋賀の事故2:信楽高原鉄道列車衝突事故

画像はイメージです

2つ目は列車衝突事故です。

1991年(平成3年)5月14日、滋賀県甲賀市の貴生川駅から信楽駅を結ぶ信楽高原鉄道【信楽線】で発生した列車衝突事故です。

単線しか走行できない信楽線内で、【信楽高原鉄道の車両】と当時直通運転していた【JR西日本の車両】が正面衝突して甚大な被害が出ています。

要点

要点をまとめさせていただきます。

事故の要点

  • 事故現場は滋賀県甲賀郡信楽町(現在の滋賀県甲賀市信楽町)黄瀬で信楽高原鉄道信楽線の小野谷信号場-紫香楽宮跡駅間である。
  • 信楽発貴生川行きの上り普通列車(使用車両は信楽高原鉄道SKR200形気動車4両編成)と京都発信楽行き下り臨時快速列車「世界陶芸祭しがらき号」(使用車両はJR西日本キハ58系気動車3両編成)が正面衝突した。
  • SKR200形は原型を留めないほど押しつぶされており、キハ58形は前部が押しつぶれた上に全長のほぼ1/3が上方へ折れ曲がっていた。
  • 信楽高原鉄道側は12名(うち4名が運転士と添乗していた社員)、JR西日本側では30名、あわせて計42名が死亡した。
  • またJR西日本側の運転士を含む614名が重傷を負った。
  • JR西日本側の臨時快速列車は乗客でほぼ満員の状態(定員の約2.8倍)だったことから、人的被害が非常に大きくなった。
  • 後に刑事裁判になり、逮捕された信楽高原鉄道の社員2名と信号設備会社の社員1名が、業務上過失致死傷罪などの罪で執行猶予付きの有罪判決が言い渡されている。
  • また信楽高原鉄道とJR西日本の双方が鉄道事業法違反に問われている。
  • 衝突事故の影響で信楽高原鉄道とJR西日本との相互直通運転が廃止となっている。

2つの列車が正面衝突した事故。42名の死者・614名の重軽傷者を出すほどの事故となり、全国的にも知られています。

この事故によって鉄道安全が重視になったきっかけにもなっています。

参照:Wikipedia|信楽高原鉄道列車衝突事故

まとめ

以上で滋賀県内に発生した2件の事故についてご説明いたしました。

今回の記事でまとめさせていただくと…

  • 1.現在でも悩まれる「比良おろし」によって発生した琵琶湖遭難事故
  • 2.列車同士による信楽高原鉄道列車衝突事故

1件目は自然によって発生し、2件目は人的な要因で発生した事故です。全国的に知られるようになり、この2件の事故によって、事故を未然に防ぐ対策や法律が作られました。