武器を用いて脅迫や実力行使などによって、他人の金品を奪う“強盗”。そして他人の命を奪い、その金品を奪う“強盗殺人”。これらの行為も人としてやってはいけないことであり、犯したときはそれ相応の罰が待っています。
日本にもルフィ広域強盗事件や練馬三億円事件など多くの強盗事件が発生しております。
そして滋賀県にも全国的に知られた強盗事件があることはご存じでしょうか?「滋賀で有名な強盗事件?」とイメージがつかない方もいるでしょう。
この記事では滋賀県で起きた強盗(強盗殺人)事件の中から3件をあげ、要点を整理しながら紹介させていただきます。
滋賀の強盗(殺人)事件1:日野町事件
1つ目は滋賀県蒲生郡日野町で発生した日野町事件(ひのちょうじけん)です。
1984年12月29日に被害者で酒屋の経営者である女性が行方不明となり、翌年の1985年1月18日に町内の宅地造成地で他殺体となって発見されました。町内にある石原山の山中に女性経営者の物と思われる金庫が発見し金品を奪われていることから、警察は強盗殺人事件として捜査を開始します。
そして3年後には被害者が経営している酒屋の常連客である犯人としてHさんが浮上し、事情聴取で犯行を自白し強盗殺人罪で逮捕されます。そして判決は無期懲役となりました。
日野町事件の要点をお伝えします。
日野町事件の要点
- 犯人としてHさんは裁判で自白を強要されたと無罪を主張。無期懲役確定後も再審を請求する(2006年に棄却)
- Hさんの無期懲役確定後、日本弁護士連合会が再審支援しHの遺族も再審請求をした
- Hさんがやったという決定的証拠がないことや警察官による悪質な自白が浮上している
- 2011年にはHさんが肺炎のため病死するが、現在でもHさんの無実を晴らすために最高裁に再審中である
滋賀県の歴史ある町で発生した日野町事件。しかしこの事件では警察官による自白強要疑惑があり、冤罪事件の可能性もある事件でもあります。Hさんの病死後も現在は遺族や日本弁護士連合会がHの無実を晴らすために特別抗告し再審中となっています。
参照:↓
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滋賀の強盗(殺人)事件2:古谷惣吉連続強盗殺人事件(滋賀県では大津事件)
2つ目は1965年に滋賀県を含む5県で発生した古谷惣吉連続強盗殺人事件です。
この事件では滋賀県・兵庫県・大阪府・京都府・福岡県で発生し、8人が犠牲となり現金などの金品が奪われています。
滋賀県では県庁所在地である大津市で発生しており、1965年11月1日頃に大津事件と呼ばれています。59歳の被害者男性が殺害され、現金・腕時計・白メリヤス肌着が奪われています。
古谷惣吉連続強盗殺人事件・大津事件の要点をお伝えします。
古谷惣吉連続強盗殺人事件・大津事件の要点
- 大津事件で古谷の指紋が残され、身元特定のきっかけとなった
- この事件では日本初の警察庁広域重要指定105事件に指定されている
- 警察は「犯行の凶悪さ・広域性では戦後最大規模の事件」、「全国の人々を震え上がらせた連続強盗殺人事件」と発表したほどの強盗(殺人)事件である
戦後を経て高度経済成長期での日本で発生した古谷惣吉連続強盗殺人事件。犯人の古谷は最初の事件から約2か月後に逮捕され、その後死刑判決が下されます。そして1985年5月31日に死刑が執行されました。
そして古谷惣吉連続強盗殺人事件の1つであり、滋賀県で発生した大津事件では初めて古谷が犯人だと判明した事件だったことが明らかになりました。
参考文献↓
- 佐久間哲『死刑に処す 現代死刑囚ファイル』2005年.自由国民社
死刑に処す : 現代死刑囚ファイル | NDLサーチ | 国立国会図書館
参照↓
滋賀の強盗(殺人)事件3:勝田清孝事件
最後の3つ目は1972年から1983年の間に滋賀県を含む6県で発生した勝田清孝事件(かつたかきよたかじけん)です。
この事件では愛知県・岐阜県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県で発生し、犯人の勝田清孝によって8人が犠牲となり、被害者が所持していた現金などの金品が盗まれました。
滋賀県では1982年10月31日に草津市で発生しており、ワゴン車の運転手だった溶接工の男性が殺害され、車と金品が盗まれています。
また草津市の事件から約2カ月前の1982年8月18日に大津市で乗用車窃盗をしています。
勝田清孝事件の要点をお伝えします。
勝田清孝事件の要点
- 1982年10月31日で発生した滋賀県の事件で勝田清孝事件最後の強盗殺人になった
- 警察庁広域重要指定113号事件に指定された
- 2000年に勝田が死刑執行され、20世紀最後の死刑執行となった
1972年からの10年間に8人の尊い命が奪われた勝田清孝事件。そしてその1つであった滋賀県草津市の事件では最後の強盗(殺人)事件となりました。後に勝田清孝は無事に逮捕され、裁判では死刑判決が下ります。そして2000年11月30日に死刑が執行されました。
参考文献↓
- 来栖宥子『113号事件 勝田清孝の真実』1996年.恒友出版
勝田清孝の真実 : 113号事件| NDLサーチ | 国立国会図書館
参照↓
まとめ
以上、滋賀県で発生した3つの強盗(殺人)事件を紹介させていただきました。
今回の記事でまとめさせていただくと…
- 事件1:犯人は特定されたが、冤罪の可能性がある日野町事件。
- 事件2:高度経済成長期の日本で発生した古谷惣吉連続強盗殺人事件。
- 事件3:10年間で8人の命が奪われた勝田清孝事件。
ご紹介した3つの事件に関連することは、強盗だけではなく人の命を奪われた殺人が発生している点です。そしてこれらが全て昭和時代で発生しています。滋賀県で発生したこの3つの事件は犯罪史に残る強盗(殺人)事件として記録されました。